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  • 電子化ラボ
2012-11-29

【電子化ラボ】e-文書法の基本まとめ

こんにちは、電子化ラボのコーナーです。
前回は文書の電子化保存に関係する法律のひとつとして、国税関係書類のスキャナ保存を規定する「電子帳簿保存法」の基本的な内容をご紹介しました。

icon-smile今回は“文書の電子化保存を容認する法律”として有名な「e-文書法」について、基本的な内容をみていくよ~。

e-文書法の概要

e-文書法は2005年4月に施行された法律で、「民間事業者等に対して法令で課せられている書面による保存等に代わり、電磁的記録による保存等を行うことを容認する」ことを定めています。

その目的は、

法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法(以下「電磁的方法」という。)により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、電磁的方法による情報処理の促進を図るとともに、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(第一条)

とあります。
成立の背景については、「文書の電子化に関する法律」という記事でもお話ししていますが、企業活動等で発生する文書には、さまざまな法律によって保存を義務づけられているものがあります。e-文書法ができるまで、そのような文書はすべて書面、つまり紙で保存しなければなりませんでした。

情報技術が発展によって多くの業務がIT化されていくなかで、紙による文書の保存義務は、経営活動や業務運営の効率化阻害、保管にかかる負担増大といったさまざまな課題を生じるようになりました。このような状況を受けて、経済界からは「電子保存の範囲を拡大してほしい」という強い要望があげられていました。

一方で、以前は難しかった電子化文書の保存を可能にする技術的な基盤が整ってきたこともあり、2004年にはe-文書法立案の指針として「e-文書イニシアティブ」が国のIT戦略であるe-Japan戦略Ⅱに反映されました。そして、翌2005年4月、法的保存義務のある文書について“原則として”すべて電子化保存を容認するe-文書法が施行されることとなったのです。

icon-smile2e-文書法ができたことで、これまで紙で保存しないといけなかった文書を、スキャニングした電子化文書 (イメージデータ)で保存していいことになりました!たとえば「電子化文書を保存して元の紙文書は廃 棄する」なんてことも選べるようになったんだね。

さて、e-文書法という名称ですが、正式には次の2つの法律を指します。

  • 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(通則法)
  • 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(整備法)

通則法とは、関連する法律を個別に改正することなく、個々の法律を改正したものと同様の意味を持たせる法律で、紙文書の電子保存に関する共通事項を定めています。紙文書の保存義務を規定している既存の法律に対してこの通則法が適用されることで、その法律をひとつひとつを改正しなくても、そこで保存義務が定められている紙文書については電子化保存が可能になります。対象となる法律は251本あります。
また、整備法は、通則法だけでは対応しきれない事項等を補う内容が定められています。

この2つの法律を総称したものが「e-文書法」です。

e-文書法の対象文書とその要件

対象の文書、対象外の文書

さて、e-文書法は「法律で保存義務のある紙文書を原則としてすべて電子化保存してもよい」としていますが、その対象はどのようなものでしょうか。

まず、e-文書法(通則法)が適用される251本の法律で保存義務が定められている文書が対象です。
一方で、“原則として”という表現が使われているとおり、一部の文書は対象外、つまり電子化保存はできず、これまでどおり紙で保存しなければならないものがあります。e-文書法の対象外となる文書は次のとおりです。

【対象外となる文書】

  • 緊急時に即座に見読可能な状態にする必要があるもの(船舶に備える安全手引書など)
  • 現物性が極めて高いもの(免許証、許可証など)※現物を携帯していることが重要
  • 条約による制限があるもの

また、電子化保存が可能とされるものでも個別に改正された法令が適用されるものがあります。対象書類が国税関係書類に該当する場合、「電子帳簿保存法」の要件に従って電子化保存を行わなければなりません。

電子帳簿保存法は、国税関係書類の保存義務を規定する法人税法や消費税法といった税法の特例法として、その電磁的な保存を容認しています。e-文書法の施行にあわせて、これまで紙でしか保存を認めていなかった国税関係書類の電子化保存(スキャナ保存)を認める、という改正が行われたため、広義のe-文書法という表現にはこの電子帳簿保存法(改正)も含まれていることが多いのですが、実際に満たすべき要件は電子帳簿保存法に記されています。

国税関係書類とは、たとえば見積書や注文書、請求書といった商取引で発生する書類が挙げられます。e-文書法で電子化保存が容認された文書のうちの半数は、国税関係書類に該当します。

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icon-star国税関係書類を電子化保存するときは、たとえば事前に税務署長へ申請して許可をもらったり、スキャニングを行うタイミングにも種類があったり、いろいろな決まりがあるんだ。詳しくは前回の記事を見てみてね。

e-文書法の電子化要件

それでは、e-文書法によって紙文書の電子化保存をする際に求められる要件を見ていきます。電子化保存の要件は、全部で4種類あります。

要件要件の内容該当条文数(1,418条文)備考
見読性必要に応じて表示または書面作成ができること…必要な時にディスプレイやプリンタなどの機器に表示・出力し、すぐに内容を確認できること。また、内容が明瞭に確認できるように適切な階調、解像度を満たすこと。1,418対象となる文書すべてに求められる要件
完全性滅失、毀損、改変、消去の確認および抑止措置…保存期間中の滅失・毀損を抑止する措置を取ること。内容の改変や消去を抑止する措置を取ること、また、実際に起こった場合はその事実が確認できるような措置を取ること。技術としては電子署名とタイムスタンプを使用することで存在証明(いつから存在したか)と完全性証明(改ざんされていないこと)が可能。205税、医療、消防関係で要求
機密性不正アクセスの抑止措置…アクセスを許可されていないものからの不正アクセスを抑止する措置を取ること。0(要件として求められている文書はない)
検索性検索できるように体系化されていること…必要な程度で検索できるように体系的に構成する措置を取ること。190すべて財務省関係

(社団法人日本画像情報マネジメント協会講演資料より抜粋)

e-文書法が適用される法律は251本ありますが、実際の電子化保存を行う場合の要件等は、各府省の府省令等で定められています。該当する条文数の数字を見ていただくとわかるとおり、ポイントは、電子化保存を行うときに“4つの要件すべてが求められるわけではない”ということです。

見読性の要件については、e-文書法対象文書すべてに求められていますが、検索性や完全性は一部の特定文書のみ要求され、機密性に関しては法的な保存要件としては求められていない状態です。
また、電子帳簿保存法のように、事前の申請・承認という制度もありません。

e-文書法対応、と聞くとどうしてもタイムスタンプや電子署名が絶対要件のように感じられますが、実際にそれらが必要となる完全性が要求される文書ばかりではないのですね。

なお、先述の国税関係書類は、電子帳簿保存法によって「真実性」と「可視性」が要件とされており、これは上記の完全性・見読性・検索性の3要件に該当します。また、医療情報も完全性が要件として求められていますが、こちらは「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に要件の規定があります。電子化保存を行う場合、それぞれの規定を確認したうえで検討・実施することが求められます。

icon-normal税や命に関わるものは要件が厳しいんだね。
他の文書は見読性だけでOKというものも多いから、こういうところは電子化保存に取り組みやすそうかも。

(参考)IT戦略本部のサイトでは、「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規程」を一覧にした資料が公開されています。

◇e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/syourei.pdf
※個別の法令改正等の内容は含まれていないため、電磁的記録による保存が容認される規定の一覧ではありません

大切なことは“記録”を確保すること

e-文書法によって、法律で保存が義務づけられている文書は電子化保存が可能になりました。
紙という縛りが緩和されたことで、業務はIT化されているのに保存は紙、というような制約は減少し、これまで別々に管理や保管をしなければならなかった紙と電子データを一元化するためのベースが整えられてきています。

IT化による業務効率化、紙文書廃棄による保管コスト削減など、e-文書法による効果はさまざまなものが言われますが、もともと求められていることは“記録の管理”です。保存義務のある情報は企業等として保持していなければならない記録にあたります。その形式が紙であれ電子であれ、大切なものはそこに存在する情報です。e-文書法は、この記録を管理・保存する手段の選択肢を広げたところに意義があると言えるでしょう。

なお、法律による保存義務のない書類や資料もオフィスの中にはたくさん存在します。このような文書は、e-文書法の対象というわけではないため、電子化(スキャニング)することにも、運用自体を電子に切り替えることにも、特に要件はありません。もちろん、見読性が確保できない状態に電子化しては意味がありませんので、法的な保存義務がない文書でも、法律に採用されている電子化保存の要件を参考にすることは有益です。

法的な保存義務がある文書はもちろん、そうでないものであっても、記録として適正に管理・保持することが、エビデンスの確保や説明責任、事業継続性の基盤になっていきます。必要に応じて電子化保存という手段も取り入れながら、このような要求に応えられる体制を構築していくことが求められています。

by choji