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Blackboard Teaching & Learning Forum Japan 2021開催レポート

皆様、こんにちは。今回は、去る10月29日に開催いたしました高等教育機関向けオンラインイベント、Blackboard Teaching & Learning Forum Japan 2021の内容をご紹介します。

引き続き新型コロナウイルス感染拡大対策が求められる今、大学ではオンライン教育が定着しつつあります。一方、弊社の大学のお客さまや関係機関の調査から、オンラインだと学生の様子や理解度が直接わからない、と不安をお感じの先生や、すぐに質問できる先生やクラスメイトが周囲にいない中、課題提出に追われ孤独感が募る、といった学生の声が聞こえてきます。

そこで改めて、LMSなどの教育ICTを活用して学生に寄り添い、これまでの方法にとらわれない自由な授業、学びのスタイルと学生エンゲージメントについて、皆様と一緒に考えられればと、本フォーラムを企画いたしました。

最後までお目通しいただければ幸いです。

目次[非表示]

  1. 1.当日のプログラム
  2. 2.オンラインでも、高い学生エンゲージメントと成果を実現できる!基調講演「オンライン教育において学生エンゲージメントをどう高めるか」
  3. 3.「オンラインは孤独」ばかりではない!パネルセッション「学生さんに聞くオンライン授業のホンネ」
  4. 4.約6,800名の学生一人ひとりに、きめ細かな教育を届ける!「コロナ禍の英語教育におけるLMSの役割」
  5. 5.学生と教職員の共感を得ながら巻き込む変革で、スムーズにオンラインへ移行!基調講演「Navigating Change in a Virtual Higher Education World(バーチャルな高等教育における変化への挑戦)」
  6. 6.全世界規模で見た、教育界の変革トレンドは?「Current Trends and the Role of Technology in the Future of Education(未来の教育におけるテクノロジーの最新動向と役割)」
  7. 7.最後に

当日のプログラム

当日の主な講演は以下の通りです。

  • 基調講演 オンライン教育において学生エンゲージメントをどう高めるか
    関西大学 教育推進部 教授 山田 剛史 氏
  • パネルセッション 学生さんに聞くオンライン授業のホンネ
  • 講演 コロナ禍の英語教育におけるLMSの役割
    獨協大学 経済学部経済学科 教授 岡田 圭子  氏
  • 基調講演 Navigating Change in a Virtual Higher Education World
    バーチャルな高等教育における変化への挑戦

    Marc Booker, PhD, Vice Provost, Strategy, University of Phoenix
    (同時通訳付き)
  • スポンサーセッション Current Trends and the Role of Technology in the Future of Education
    未来の教育におけるテクノロジーの最新動向と役割

    Ivan Gn, EdTech Technical Program Manager, AWS
    (同時通訳付き)

なお、本フォーラムでは私たちアシストマイクロが提供しておりますLMS、Blackboard Learn(ブラックボードラーン)と、遠隔授業ツールBlackboard Collaborate(ブラックボードコラボレート)を使用しました。聴講者様全員にLearnの学生アカウントをお配りし、実際に触っていただきながら講演をご視聴いただきました。

↑本フォーラム専用のBlackboard Learn。講演の視聴はもちろん、配布資料や関連資料も1箇所でご覧いただけるようにしました。

それでは、以下より各講演の内容をご紹介します。

オンラインでも、高い学生エンゲージメントと成果を実現できる!
基調講演「オンライン教育において学生エンゲージメントをどう高めるか」

最初の基調講演では、関西大学教育推進部 教授の山田先生に、ズバリ、オンライン教育での学生エンゲージメントの維持向上方法について、お話しいただきました。

まず、改めてこれまでの各関係機関による調査、そして関西大学様での学生アンケートから、コロナ禍での授業オンライン化の影響、対面教育とオンライン教育それぞれのメリット、デメリットを整理しました。また先生は、オンライン教育の普及に伴い、これまでの対面教育の意義が相対化された、と指摘します。

続いて、そもそも学生エンゲージメントとは何かについて、改めて解説いただきました。学生エンゲージメントは、行動的領域、認知的領域、情緒的領域の3領域から構成されているといいます。中でも、帰属意識や愛着、満足感などの情緒的領域は、コロナ禍前から特に抜け落ちやすい部分で、昨今のオンライン教育の普及により、さらに顕著になったとします。

そして、情緒的領域を補強するカギが、現在、人材育成や組織運営の分野で注目されている、「心理的安全性」の確保であると主張します。実際に先生が心理的安全性確保のために実践している、アイスブレーキングや学生全員への丁寧なフィードバック、オンデマンド授業での積極的な問いかけなどの具体的な手法と効果についても、詳しくご紹介いただきました。

最後に、オンラインか対面か、は単なるツールの問題で、教育の本質は変わらないとし、今後は、オンライン教育をいかにカリキュラムや制度に組み込み、教育の質を保証する仕組みを作るかについて議論を進めていくべき、という提言で締めくくりました。

研究と実践に基づいた、山田先生ならではの知見と示唆が満載の講演でした。オンラインと対面、両方での学生との向き合い方について、再考するきっかけになった、という聴講者様もいらっしゃったのではないでしょうか。

「オンラインは孤独」ばかりではない!
パネルセッション「学生さんに聞くオンライン授業のホンネ」

次に、コロナ禍でのオンライン移行に直面した、2〜4年生の学生の方4名をお招きし、アンケートだけでは明らかにならない「本音」を、赤裸々に語っていただきました。

最初の話題は、オンライン教育のメリットとデメリットです。これまでの関係機関による調査でも明らかになったメリット、デメリットだけだけでなく、「すぐに人に聞かずまず自分で調べる姿勢や、自己管理能力を鍛えられた」とか「ブレークアウトセッションは孤独感が軽減する一方、初対面の人との議論が盛り上がりづらかった」といった声もありました。

また聴講者様からの質問に答える形で、「ほかの教員も見習ってほしい!と思う教員の取り組みはあったか?」についても伺いました。これに対し、「定期的にオンラインルームを開放し、質問や相談を受け付けてくれた」、「日常使うチャットアプリで、授業連絡や参考情報を流してくれた」など、教員のさまざまな取り組みを教えてくれました。

ほかにもいろいろな話題を取り上げ、学生さんの考えや行った工夫などもお話しいただきました。急なオンライン移行に戸惑いながらも、現状を自分なりに分析し、実りある学修に繋げるための努力を伺うことができました。本フォーラムを聴講している教職員の皆様にとって、どれも貴重な意見だったのではないでしょうか。

4名の学生の皆様、お忙しいところお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

約6,800名の学生一人ひとりに、きめ細かな教育を届ける!
「コロナ禍の英語教育におけるLMSの役割」

続いて、全学共通カリキュラムという大規模なプログラムでの教育の質保証と、Blackboard Learnの活用方法について、獨協大学 経済学部経済学科 教授 岡田 圭子先生にお話しいただきました。

獨協大学様の全学共通カリキュラム英語科目は、一般学術目的の英語習得と自律的学習者の育成を目的に、2003年に開講しました。1学年約1,600名の学生を、100名近くの教員が担当する大規模プログラムです。教育の質保証のため、教員とは別に、岡田先生自身も務める「コーディネーター」を置き、シラバスや教材の共通化など、プログラム全体を「コーディネート」しています。Blackboard Learnは、コーディネーター、教員、学生の3者間での教育・学習目標の共有や授業運営に役立てられており、2009年にはこれらの取り組みが評価され、文部科学省から「大学教育推進プログラム」として採択されました。

2020年の春学期のコロナ禍においては、全授業がオンデマンド型やライブ配信型になりました。この時には、Blackboard Learnのコミュニティ機能をフル活用したといいます。講演では、教員コミュニティ、学生コミュニティ、コーディネーターコミュニティでの情報交換などさまざまなやりとりの様子を、実際の操作画面と一緒にご紹介いただきました。
また、教員、学生、さらにコーディネーター同士の3者を支援する必要があるコーディネーターにとって、Blackboard Learnのコミュニティ機能は必要不可欠なものだったとご評価いただきました。

最後に、学生と教員へのアンケート結果をもとに、オンライン教育での双方向性強化と、機器操作などの教員の負担軽減を今後の課題としてあげました。さらに、これらの課題は英語教育、オンライン教育だけでなく、あらゆる科目と教育形態の共通課題として議論を続けるべき、と締めくくりました。

英語教育に限らず、共通必修科目などの大規模なプログラム運用の参考になるのではないでしょうか。また、山田先生の基調講演同様「オンラインか、対面かが問題ではない」という主張が改めて強調されたのが印象的でした。

学生と教職員の共感を得ながら巻き込む変革で、スムーズにオンラインへ移行!
基調講演「Navigating Change in a Virtual Higher Education World(バーチャルな高等教育における変化への挑戦)」

2つ目の基調講演では、米国フェニックス大学の副学長 Marc Booker 先生をお招きし、同大学でのオンライン移行の実践例をお話しいただきました。

アリゾナ州に本部を置くフェニックス大学では、学生の半数を30歳以上の社会人が占め、大学からの住居提供が必要である学生など、多様な背景を持つ学生が学んでいます。コロナ禍において、州をまたぐ20以上のキャンパスに所属する約6,000名の教職員と学生を、対面教育からオンライン中心の教育へ導く必要がありました。

同大学は、モバイル対応し学生一人ひとりにパーソナライズされたオンラインプラットフォームを構築することで、多様な学生のニーズに応えようと、これまで使用していた独自開発LMSから、Blackboard Learnへ移行、さらにBlackboard社と連携し「変更管理」(チェンジマネジメント)を徹底したといいます。一方的に変革を推し進めるのではなく、なぜ変革が必要なのか、どのようなメリットがもたらされるのか("WHY")を、関係者全員に丁寧かつ明確に開示し、共感を得ながら巻き込んでいきました。結果、大学と学生への影響を最小限に抑えつつ、オンライン中心の教育へスピーディに移行できました。

さらに先生は、教育機関はスピーディーな変革を求められた時、しばしば「なぜ」より「遠隔授業システムを利用する」などの「何」をすべきか("WHAT")を真っ先に検討しがちで、これだけでは多様で常に変化する学生のニーズに寄り添うことはできない、と指摘します。最初に「なぜ」を周知徹底するのは、遠回りであるように見えるが、変革への共感やモチベーションの基礎を築くことで、むしろスピードと成功率のアップを図れる、と改めて強調しました。

講演では、具体的な施策内容や学生へのメッセージ内容などもご紹介いただきました。大学に限らず、組織運営・変革の実践例としても大変参考になるお話でした。

全世界規模で見た、教育界の変革トレンドは?
「Current Trends and the Role of Technology in the Future of Education(未来の教育におけるテクノロジーの最新動向と役割)

最後に、本フォーラムの協賛社であるAmazon Web Services社 アジア太平洋地域EdTech担当のIvan Gn氏より、コロナ禍における全世界の教育界のトレンドと、同社が提供するサービスについて紹介しました。

全世界の教育界のトレンドについて7つのポイントにまとめ、本フォーラム講演者の皆様がおっしゃるように急激な変化を遂げている点も含め、サイバー攻撃の増加やデジタル格差の拡大など、世界規模の広い視点からも解説しました。

最後に

教員、学生、大学運営者といった、オンライン教育と対面教育の双方の最前線に立つ、さまざまな立場の方たちから、コロナ禍での実践例と見解、今後の展望をいっきに聴くことができた、充実したフォーラムでした。聴講者様からは、
「学生エンゲージメントに関する講演と、学生の率直な声を聞いて、教育が教える側の視点でばかり考えられていたことに気づかされた」
「オンラインであっても、工夫次第で満足度を高められるとわかった」
などの声をお寄せいただきました。

アシストマイクロは、LMSなどの教育ICTを活用することで、オンラインか対面かを問わず、教員の目が学生一人ひとりにこれまで以上に行き届き、適切なフィードバックや双方向性の高い授業といった、高いエンゲージメントと学修成果をもたらす教育が可能になると考えております。
本フォーラムが、皆様の今後の教育活動にお役に立てば幸いです。

ご講演くださった皆様、ご聴講くださった皆様、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。​​​​​​​
引き続き、教育機関の皆様のお役に立てる情報発信と製品・サービスの提供に努めてまいりますので、ぜひご注目ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。