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アダプティブラーニングとは?意味やメリット、動向を教育機関向けに解説

皆さんこんにちは。
このところ、教育に変革をもたらすテクノロジーを指す「EdTech(エドテック)」という言葉を見聞きする機会が増えたような気がしませんか。さまざまな教育の現場でICTの利活用が進んでいるのに加え、2019年から続くコロナ禍で、オンライン教育が以前にも増して広がりを見せたことが大きく影響しているのでしょう。

EdTechにより実現できるとされるものの一つが、「アダプティブラーニング」という手法です。学習者の能動的・積極的な学びを促す「アクティブラーニング」と同様に、関係省庁から推奨されており、教育現場で少しずつ実践と効果検証が始まっています。

今回の記事では、このアダプティブラーニングとは何かについて、基本的なことから、アダプティブラーニングを実施するためのICTツール、現在の動向などを解説します。アダプティブラーニングを知りたい方はもちろん、EdTechについて広く情報を集めているという方も、ぜひお読みいただき、ご理解を深めていただければ幸いです。

目次[非表示]

  1. 1.アダプティブラーニングとは
  2. 2.注目される背景
  3. 3.アダプティブラーニングのメリット
    1. 3.1.学習効果・効率向上
    2. 3.2.学習・教育履歴の可視化によるメリットも享受できる
  4. 4.日本の高等教育機関におけるアダプティブラーニングの普及動向
  5. 5.アダプティブラーニングを支援するツールの例
    1. 5.1.学習ルートを自在に組める、Moodleベースのクラウド型LMS「Open LMS」
    2. 5.2.柔軟なアクセス権設定で段階的にコースコンテンツを公開できるBlackboard Learn
    3. 5.3.教職員と学生双方のデータ活用を促進する分析ツールIntelliBoard
  6. 6.最後に

アダプティブラーニングとは

学生一人ひとりの理解度や到達度に応じて、個別最適化された教育・学習のことです。「アダプティブ(adaptive)」とは、環境や状況に適応できる、という意味の英語です。日本語では、「適応学習」とも表されます。

学生の学習履歴や成績の収集、蓄積、可視化が必要であるため、それらが容易な教育ICTツールを使うのが一般的です。データや分析結果から、自動的に個別最適化されたカリキュラムを設計したり、適切なタイミングで学生をフォロー、誘導したりできるツールも登場しています。

関係政府機関も推奨しており、例えば文部科学省の「Society 5.0 に向けた人材育成~ 社会が変わる、学びが変わる ~」では、アダプティブラーニングを「すぐにでも着手すべき課題」の一つとしてあげており、また経済産業省の「『未来の教室』実証事業」でも、「学びの自律化・個別最適化」を提唱しています。

学生への個別フォローや指導はこれまでもやってきた、という教職員の方もいらっしゃるでしょう。アダプティブラーニングは、教育ICTツールを活用し、その細やかな教育をより効率良く、より合理的に提供する、という狙いもあります。改めて、この手法が注目されている背景を考えてみましょう。

注目される背景

上記の文部科学省の文書にもある通り、現在、AIなどのICTをはじめとするさまざまな技術の高度化が進んでいます。教育にも、教室に集めた学生に教員が一方的に講義を行う一斉・一律の従来の形態から、教育ICTによって学生の学習経過や成果がデータとして蓄積、可視化され、それらに基づき一人ひとりに最適化された形態への変化が求められています。

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大による影響も関係しています。
学生の通学が制限され授業のオンライン化が急速に進むと、以前のように教員やクラスメイトと直接会えないことによる、学生の孤独感増幅や学習意欲低下、ドロップアウトへのつながりやすさ、などの課題が顕著化しました。

一方、学習管理システム(LMS)などの教育ICTツールの活用機会が増え、学習・教育データの蓄積が自然と進んだ一面もあります。つまり、これらのデータを学生の状況の客観的な把握、最適なタイミング・内容のフォローに役立てることが可能となり、まさにアダプティブラーニングを実践しやすい環境になった、とも捉えられます。実践できれば、学生の孤独感軽減、学習意欲維持向上、ドロップアウト予防などの効果を期待できます。

これまでよりきめ細かい学生フォローが求められる状況と、教育ICTツールへのデータ蓄積が進んだ状況との2つが合わさり、アダプティブラーニングの効果に注目と期待が集まっています。

アダプティブラーニングのメリット

では、改めてアダプティブラーニングのメリットをまとめてみましょう。

学習効果・効率向上

まずはこのメリットが思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。メリットがあるのはわかるものの、教員の負担が増すのでは、と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、教育ICTツールを活用することで、定型化できる部分を自動化し、教員の業務負担を軽減することも可能です。

例えば、基礎知識はアダプティブラーニングのツールで、理解できるまで繰り返すなどの学習ルートをあらかじめ設定しておき、学生各自に自習してもらえば、教室ではその知識を前提とした質疑応答やディスカッション、実習などの、アクティブな学習活動により注力できます。

学習・教育履歴の可視化によるメリットも享受できる

学習・教育履歴の可視化は、アダプティブラーニングを行う上で必要な手段でありながら、「可視化」そのものにも、多くのメリットがあります。

まず、教員が客観的なデータに基づいた合理的な教育や判断を行いやすくなる点です。
従来の教育は、現場の教員の裁量任せになりがちで、教員の経験や力量により、どうしても教育の内容や質にばらつきが生じます。
目に見えない経験則や勘のみに依存せず、データとして可視化された教育・学習履歴に基づいた計画や判断が可能になることで、教員の裁量に左右される部分を減らし、教育の内容や質を均質化できます。

そして、学生の自律的な学びを促す効果も期待できます。自身の学習履歴をいつでも確認できることで、最終目標に対する自分の現在位置の把握や自らの学習計画の立案が簡単になります。教員からの指導もより納得感を持って前向きに受けられるでしょう。

日本の高等教育機関におけるアダプティブラーニングの普及動向

さて、アダプティブラーニングは今どの程度普及しているのでしょうか。

アダプティブラーニングは、前述の通り教育ICTツールの活用が前提となるため、安定したネット回線やICT機器などの環境整備が不可欠です。また、利用する学生と教職員に、ある程度のICT活用スキルが求められます。

こちらの記事の3章「日本の高等教育機関における導入・活用状況」にあるように、ICT活用教育の導入や推進を妨げる阻害要因として、コスト(人材、時間、費用)がかかり整備が進まない、学生と教職員のICT活用スキルにバラつきがある、といった課題が指摘されています。これは、そのままアダプティブラーニング推進の課題にもなるでしょう。

一方、総務省が公開している「教育ICTガイドブック」で紹介されているように、小・中・高校を中心に実践例が報告され始めており、さまざまなベンダーがアダプティブラーニングを行えるICTツールを開発・提供しています。
効果実証やノウハウ蓄積は、緩やかながらこれから本格化していくことが期待できます。

アダプティブラーニングを支援するツールの例

先に述べた通り、さまざまなベンダーから、アダプティブラーニングを採用したeラーニング教材や、個別最適化されたカリキュラム設計と実施を支援するICTツールが提供されています。教育ICT環境の基盤といえるLMSも、学習履歴の記録や分析ができる機能があれば、アダプティブラーニングの一助になります。

私たちアシストマイクロでも、アダプティブラーニングを支援する各種教育ICTツールを提供しておりますので、以下にご紹介いたします。

学習ルートを自在に組める、Moodleベースのクラウド型LMS「Open LMS」

Open LMS(オープンエルエムエス)は、教員があらかじめ学習ルートを設定し、自動化できる「個人用学習デザイナ(PLD)」を搭載しています。

設定できる学習ルートは、開講日に受講者全員に挨拶メールを自動送信する、などの簡単なものから、動画を見た後に理解度チェックテストへ誘導し、高成績者にはより高度な内容の文献へ誘導し、一定の成績に届かなかった人には、到達できるまで動画視聴とチェックテスト受験へ繰り返し誘導するといった、特定の条件で分岐する複雑な学習ルートまで、自在に組めます。

学生の理解度や到達度に応じた個別カリキュラムの設計、実施と定型化可能な学習ルートの自動化を支援します。

Open LMSの独自機能「個人用学習デザイナ(PLD)」で組める、学習ルートの例。


Open LMSの詳細を見る>

柔軟なアクセス権設定で段階的にコースコンテンツを公開できるBlackboard Learn

Blackboard Learn(ブラックボードラーン)は、豊富な機能と高いカスタマイズ性で、教職員と学生の多様なニーズに応えるLMSです。

学生に提示するコンテンツに予め「リリース条件」を設定することで、学生へのコンテンツの公開を制御し、個々の理解度に合ったレベル別の課題や確認テストに段階的に誘導することができます。

例えば、学生が特定の評価で一定のスコアを獲得するまで、または特定のコンテンツを閲覧するまで、次のステップに進めないようにしたり、週に1度の授業の場合、その予習教材として表示期間を限定して学生に提示することも可能です。
また学内で、学部や学年関係なく履修可能な共通コースや履修者の多い大規模授業においても、一貫してパーソナライズされた誘導により、学生の学習に対する満足度の向上や理解度の把握、管理、一早いフォローアップを支援します。

さらに教員は、学生がいつテストや課題を開き、開始し、提出したかをレポートで確認し、フォローが必要な学生に都度メッセージを送信できます。

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Blackboard Learnのリリース条件設定とレポートの例。テストで一定の点数以上を取得した学生に次のテストを開放するなど、学生の理解度に応じたコース設計を行え、学生がどの程度到達できているのかもレポートで確認できる。


Blackboard Learnの詳細を見る>

教職員と学生双方のデータ活用を促進する分析ツールIntelliBoard

IntelliBoard(インテリボード)は、LMSと連携し学修データを分析・レポートするツールです。
LMSに搭載された分析機能だけでは難しい、科目を横断した分析など、さまざまな角度からの詳しい分析を、130種類以上のレポートで実現します。複雑な操作なしで、学生の理解度や行動傾向をわかりやすい表や図、グラフなどの形で把握でき、授業計画やさまざまな判断に役立てられます。

管理者や教員が、特定の条件やタイミングを検索・設定しユーザーに連絡できるので、例えば出席率が低下傾向にある学生をすばやく見つけ、個別に連絡を取るなどの、タイムリーな状況把握、学生フォローをより確実に実行できます。

さらに、学生向けの分析・レポート機能もあるので、学生が自身の学習経過や成果を確認できたり、自身の成績を全学生の平均値と比較したりでき、自律的な振り返り、学習計画検討を促します。


IntelliBoardのレポートの例。教員は担当コースの平均評点や修了率などを、学生は自身の成績や課題の進み具合、全学生平均値との比較結果などをいつでも確認できる。


IntelliBoardの詳細を見る>

最後に

個別最適化された学習プロセスを設計するのは、一見大変なことにも思えますが、教育ICTツールを活用することで、教員の業務効率化と教育の質維持向上との両立が可能です。
今すぐすべての開講科目、すべての過程で採用するのは難しくとも、まずは現在の教育ICT環境で学習・教育履歴の記録と可視化、学生への開示だけでもできないかや、定型化・自動化できる教育過程がないか、探すところから始めるのはいかがでしょうか。

アシストマイクロでは、上記で紹介した学習管理システムを中心とした、さまざまな教育ICTツールの提供を通し、アダプティブラーニングを支援いたします。ぜひお気軽にお問い合わせ・ご相談をお寄せください。

アシストマイクロのアダプティブラーニング支援製品

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